最近、「墓じまい」という言葉をよく聞くようになりました。これに伴い、伝統的な墓地埋葬の代わりに遺骨を自然に還す「散骨」を考える人が増えています。
この記事では、散骨に関連する費用、必要な手続き、また信頼できる業者の選び方について詳しく説明します。
散骨とは?
散骨は自然葬の一つで、火葬後の遺骨を粉状にして自然に帰す方法です。日本では以前は骨壺に遺骨を入れて墓地や納骨堂に納めるのが普通でしたが、海外でも限られた地域でのみ行われることが多いです。
最近では、多くの人々が火葬後の散骨を望むようになり、日本を含む世界各地で行われています。自然を愛する気持ちや、死後は自然に還りたいという願いから選ぶ人が増えているのです。
さらに、核家族化や少子化の影響で、墓地の維持を家族に負担と感じさせたくないという思いから、希望する人が多くなっています。
散骨の種類と費用相場
散骨には様々な方法が存在します。ここでは、それぞれのタイプごとに必要な費用について詳しく説明します。
海洋散骨の費用
多くの人がイメージするのは、船で沖へ出て行う海洋散骨です。これには、家族だけで船を貸し切る「貸し切り型」と、複数の家族で行う「合同型」の二つの形式があり、それぞれ費用が異なります。プランには通常、船のレンタル料、スタッフの手数料、生花や献酒、散骨証明書、写真撮影などが含まれます。大型クルーザーを使用する場合は、飲食や軽食の提供もプランに含まれることがあります。
●貸し切り型散骨
【15万円~35万円】
貸し切り型は、1家族が1隻の船を完全に貸し切って行う方法です。このプランはチャータープランとも呼ばれ、船のレンタル、スタッフの手配、燃料費などが含まれるため、他の共同プランと比べて料金が高くなりがちです。しかし、他の参加者を気にすることなく、プライベートな空間で行えるメリットがあります。また、航路の調整やスケジュールの柔軟な対応も可能です。
●合同散骨
【10万円~20万円】
合同散骨は、1隻の船を複数の家族で共有するプランで、貸し切り型に比べてコストが低く抑えられるのがメリットです。このプランも乗船人数制限は同じですが、複数家族で共有するため、一家族当たりの乗船人数が限られます。例えば、12名が乗船可能な船の場合、貸し切りでは全員がその家族のメンバーである一方、4家族の場合だと、各家族は最大3名までとなります。また、最小人数に満たないと出航しない業者もあるため、計画通りに実施できない場合も。
山の散骨の費用
【10万円~20万円】
山の散骨は、自然や登山を愛した方々に選ばれる方法で、海とは異なり船のチャーターが不要なため、通常は家族単独で行います。海に比べて費用が低く抑えられる点が特徴です。山へ遺骨を撒く場合でもスタッフの手配、散骨証明書、献花や献酒などの費用が含まれますが、アクセスの困難な場所では追加の交通手段が必要になることも。また、土地所有者の許可や環境への配慮が必要なため、信頼できる業者の選定が重要です。
空の散骨の費用
【20万円~200万円】
空に遺骨を撒く場合はいくつかの方法があります。ヘリコプターを使用して上空から海へ遺骨を撒くプランは、費用が30万円~50万円程で、船よりもコストが高めです。また、成層圏へバルーンで遺骨を送るバルーン葬は、他と同様に約20万円が相場です。一方、遺骨を宇宙空間に送る宇宙葬は100万円から数百万円と幅広い費用がかかり、宇宙を愛する人や星として故人を偲びたい家族に選ばれますが、まだ実施例は少ないです。
●代行散骨の費用
【2万円~5万円】
家族が乗船しない代行プランは、内容をシンプルにして費用を5万円未満に抑えることが多いです。遺骨を郵送し、業者に全て任せられるので、手間がかからないため人気があります。しかし、家族が立ち会わないため適切に行われているか確認が難しいというデメリットも。また、一部の業者では遺骨が一定量集まるまで実施しないため、遺骨を撒くまでに時間がかかることがあります。このようなサービスを利用する際は、信頼性の高い業者選びがポイントです。
●個人での散骨費用
【0円~5万円】
個人での散骨は可能で、特別な費用はかかりませんが、マナーと法的な配慮が必要です。周囲に不快感を与えないよう、遺骨を細かく粉砕し、公共の場や風評被害が起こりうる地域を避けることが大切です。また、周辺住民や環境への配慮も求められます。海へ撒く場合は、海水浴場や観光地を避け、沖合で行う必要があります。同様に山へ撒く場合も土地の所有者の許可が必要です。手順や場所選びに自信がない場合は、トラブルを避けるために業者に依頼するのが安心です。
散骨を依頼するまでの流れ
散骨を依頼するために必要な手続きや申請、円滑に進めるために準備しておくべき内容をまとめました。散骨を検討している方は以下を参考にしてみてください。
粉骨が必要
散骨を行う際には、遺骨を粉骨する必要があります。これは、遺骨を細かな粉状にし、自然に還りやすくするためです。粉骨は専門の業者に依頼するのが一般的で、遺骨が約2ミリメートル以下の粒度になるように処理されます。遺骨は湿気を吸いやすいため、粉骨するまでの間、適切な保存状態を保つのも重要です。
私有地には許可を取る
他人の私有地に遺骨を撒く場合、土地の所有者から許可を得ることが必要です。許可を得ずに行うと、法的な問題に発展する可能性があります。そのため、事前に土地所有者としっかりと話し合い、合意を形成しておくことが望ましいです。
散骨時には書類が必要
散骨を行う際に準備する必要がある書類をご紹介します。スムーズに進めるために、以下の文書を整えておくと安心です。
●埋葬許可証
火葬が完了した際に火葬場から発行される文書です。あらゆる埋葬活動に必要とされます。
●改葬許可証
既に埋葬された遺骨を他の方法で再埋葬する場合、この許可証が必要です。自治体に申請し、承認を受ける必要があります。
●申込書
業者に依頼する場合、提供されるサービスの内容が記載された申込書に記入が求められます。契約内容をよく読み、理解した上で署名します。
散骨業者を選ぶポイント
これまで散骨の費用相場や手続きの流れについて紹介してきましたが、実際に業者に依頼する際はどのようなポイントを確認するのが良いのでしょうか。ここでは業者選びのポイントについて見ていきましょう。
希望の海・エリアは利用可能か
故人との縁の深い海や特定のエリアで遺骨を撒くのは可能かどうかが重要です。一部の地域では制限する条例があるため、希望する場所が許可されているエリアかどうかを、業者に確認するのが先決です。また、観光地や公共の場所は避けるべきで、業者がどのような場所で行っているかを事前にリサーチすることが大切です。
散骨証明書の発行の確認
業者が証明書を発行しているかどうかを確認しましょう。この証明書は散骨が行われたこと、場所、日時などが記載されており、故人を偲ぶ上で大切なものになります。証明書の発行を行っていない業者も存在するため、サービス内容をよく確認しておきましょう。
複数の業者を見比べる
複数の業者を比較検討するのも大切です。低コストで始められるビジネスのため、サービスの質には大きな差が出ることがあります。料金だけでなく、サービスの内容、儀式への理解と尊重の度合い、顧客対応の質などを検討し、信頼できる業者を比較する必要があるでしょう。
まとめ
時代の変化に伴い、散骨を希望する人々が増加しており、今後はさらに手軽に行えるようになるかもしれません。
しかし、遺骨の粉砕から散骨に至るまでの全プロセスを個人で行うのは、肉体的にも精神的にも大きな負担が伴います。特に砕骨作業は難しいため、困難を感じたら業者への依頼を検討することが賢明です。
FUROSHIKIでは、環境保護を最優先に、故人に寄り添う形で安全かつ丁寧なサポートをお届けしています。海上散骨や粉骨など、ご希望に応じたプランをご提案し、心に寄り添ったサービスを実施していますので、お気軽にお問い合わせください。