
音楽の要素としてとりわけ大切にされる要素のひとつである「美しい響き」。長い音楽の歴史の中で「美しい響き」を求め続けて作曲家や演奏家、聴衆たちは今日に至っています。
響きの「美しさ」とはどういうものなのか具体的に見ていきましょう。まず、料理のおいしさについて考えてみましょう。口にした時「おいしいな」と感じる料理ではただ「甘い」や、「辛い」といったものだけではないのです。そこには単体では決して心地よくない味覚である「苦昧」や「渋み」といったものもあり、それらが絶妙なバランスによって混ざり合うことで、おいしいと感じる『風味』を作り出しています。
音楽での響きの「美しさ」というのも、前述したような料理の「おいしさ」に通ずるものがあるのではないでしょうか。まず大切なこととは、取り組む音楽作品にそれぞれ適した歌い方を見つけること、そして何より伝えたいという気持ちなのかもしれません。